2008年07月11日
戦国の世、武士達はいかに戦ったか?日本最初の兵法書である「訓閲集」(きんえつしゅう)が初めて刊行された。新陰流剣術の創始者として知られる兵法者・上泉伊勢守信綱によって伝えられた貴重な資料が現代に蘇る。『上泉信綱伝 新陰流軍学「訓閲集」』発売中。
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『訓閲集』は、戦陣の組み方、太刀・槍の使い方、馬上での戦い方、武器・武具、城の攻め方・守り方、さらには築城法、吉凶の知り方、諜報まで、戦国時代の戦いに関するすべてを網羅した貴重な文献である。本書は新陰流剣術の創始者として知られる上泉伊勢守信綱が、平安時代の初めに成立した『訓閲集』を受け継ぎ、弟子の疋田豊五郎から熊本細川藩の新陰流師範である林家に伝授され、その後、名古屋春風館道場へと渡ったものを原本とし、神奈川歯科大学教授(哲学)の赤羽根龍夫、同助教(体育学)の赤羽根大介が、校訂、解説を加えたものである。剣道・武術愛好家、戦国史、軍学・兵学に興味のあるすべての人にとって必読の原典といえる。
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【『訓閲集』とは】
『訓閲集』は、平安時代の初め、大江維時が唐からいくつかの兵書を持ち帰り、陰陽五行説と結びつけて作成したものと伝えられる。後三年の役(1087年)で奥州の乱を鎮圧して名をあげた源義家は、大江の後裔から相伝を受けた『訓閲集』によって兵法を学び、その後弓馬礼法によって室町幕府に使えた小笠原家に代々伝わった。小笠原家の末裔、小笠原氏隆から『訓閲集』の相伝を受け、新たな工夫を加えたのが上泉信綱である。
【上泉信綱伝『訓閲集』の特徴】
この上泉信綱伝『訓閲集』は、「上野一本槍」といわれ数々の戦闘で勇名をはせ、また新陰流剣術を大成した上泉信綱の、戦場における実戦経験の中での、太刀や槍の使い方、馬上での戦い方や城攻め、籠城の仕方が具体的に描かれているところに大きな特徴がある。特に「巻四 戦法」の「寡戦─小勢にして大勢に向かう」は、上州大胡の小城主として強敵に立ち向かい、上泉城が落城した後は長野業正の旗本として何度も武田の大軍の侵略を防いだ信綱の、実際の戦いぶりがうかがわれて興味深い。戦国時代に軍学は大盛況をみるようになる。上泉信綱は嫡子の秀胤に新陰流剣術と共に新陰流軍学を相伝し、秀胤は武田信玄に仕えた岡本半介にそれを伝え、半介の弟子で徳川家康の家臣・小幡景憲は、『甲陽軍鑑』に描かれた信玄の戦法と『訓閲集』的軍配を合わせて甲州流軍学を大成した。そこから北条流や山鹿流などの近世軍学が誕生し、各藩はこぞって軍学者を重用したが、島原の乱以降は泰平の時代となり、軍学は武士の教養となる。戦国武将が実際に戦場で使った「虎の巻」というべき軍学書は『訓閲集』が最後であったといえるかもしれない。
【初めて世に出る実戦軍学】
これまで上泉伝の軍学集は、岡本半介を経て江戸時代の軍学各派に伝わったもの、および秀胤の子の義郷によって岡山・鳥取の池田藩に伝わったものの二系統しか確認されていなかった。疋田豊五郎によって伝えられた本書は、この二系統の伝書と比べて、実戦に即した戦法が多く記載されているのが特徴である。それは、上泉信綱が、自らの実戦経験をもとに手を加えたものであると思われる。解説の赤羽根龍夫は、『柳生新陰流を学ぶ』『宮本武蔵を哲学する』などの著書があり、新陰流剣術の研究者・実践者として知られるが、名古屋・春風館道場館長の加藤伊三男に『訓閲集』の存在を知らされ、同じ神奈川歯科大学に勤務する赤羽根大介とともに、本書を世に出す作業に取り組んだ。
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◆目次◆
解説
巻一 発向
巻二 備え與
巻三 斥候
巻四 戦法
巻五 攻城・守城
巻六 士鑑・軍役
巻七 築城
巻八 甲冑・軍器
巻九 軍器
巻十 実検
巻十一 日取り
巻十二 気伝
■A5判/上製 336ページ
■2,940円(税込)
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