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週刊ダイヤモンド10/27号(10/22売)の特集は『頼れる病院 消える病院』
全国1196病院 都道府県別ランキング!



株式会社ダイヤモンド社より毎週月曜日に発売されている、経済・金融・企業情報をタイムリーに伝えるビジネス誌、『週刊ダイヤモンド』。
10月22日に発売される10/27号の特集は『頼れる病院 消える病院』
あなたの町の頼れる病院はどこか 全国1996病院を都道府県別にランキング
特集の読みどころは下記のとおり。その他、ビジネス、経済に関する最新の記事も満載です!


──CONTENTS────────────────────────

■ 特集
頼れる病院 消える病院

Part 1 窮地に立つ病院
Part 2 巨大化する病院 
Part 3 都道府県別ランキング 頼れる病院
Part 4 脳卒中&がん 「得意」を磨く病院


──『頼れる病院 消える病院』特集の読みどころ────

■あなたの町の頼れる病院はどこか
全国1996病院を都道府県別にランキング


■患者たらい回し常態化から一転
川崎の病院が救急車「大歓迎」

 夜の9時、川崎市に住む主婦の内田さん(仮名)は、同居する70代の母が風呂場で転倒して頭を打ったために、あわてて119番に通報した。救急車はすぐにやって来た。
 問題はその後だった。搬送される病院がいっこうに決まらない。「これがたらい回しか──」。内田さんは母の手を握りながら焦るばかりだった。
 実は内田さんたちの住む川崎市の「救急搬送力」は政令指定都市の中2007年から3年連続ワースト1。重症患者の搬送先を決めるまでの救急車の現場滞在時間が30分以上かかる割合が16%以上もある。他の政令指定都市よりも、はるかに搬送するまでに時間を要することが多かった。
 川崎市にある41病院のうち、救急に対応する救急告示病院は28もある。数としては十分あるにもかかわらず、なぜ、たらい回しが起こるのか。
 市の担当者が原因を探ってみると、救急搬送の要請が来るのは、内田さんの母のように、高齢者が転んで骨折したり、頭を打ったりというパターンが非常に多い。こうした高齢患者が長期の入院になりそうなものは、病院から受け入れを敬遠されがちだったのだ。
 市内には病床数100~200床程度の救急告示病院も多い。これらの病院が、十分な受け入れ体制を整えられていないのではと指摘する声もある。
 そんな川崎市の救急搬送に異変が起きている。民間病院大手の川崎幸病院がすべての患者を断らず受け入れる方針の下で、ER(救急治療室)にどんどん運び込んでいるというのだ。
 幸病院の12年度の救急車受け入れ台数は8000台を見込み、13年度には1万台以上になる予定。そうなると川崎市でトップに躍り出ることになる。
 今年4月には川崎市から、どの病院も受け入れられない場合に最後のとりでとして必ず受け入れる「重症患者救急対応病院」に指定された。
 一般的に救急は「不採算医療」といわれてきたが、10年度以降、診療報酬改定で救急入院医療への加算が手厚くなったことから、力を入れるところが増えてきた。幸病院は一定以上の規模かつ工夫を凝らせば、利益を出せると考える。救急の新規患者が入院につながると収入を生む。
 とにかく患者を断らず受け入れてER(救急治療室)に運ぶ。自前で救急車も持っており、容体が安定したら後方病院に転送し、また新たな患者を受け入れる。一時的に休めるベッド付きの「ホールディングルーム」も備える。こうしたサイクルがつくれるよう、市内520もの開業医を登録するなど地域連携にも熱心だ。


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■貧困者を受け入れる
市立川崎のジレンマ

 現在、川崎市南部で唯一、比較的軽症の1次救急から重篤患者を受け入れる3次救命救急まで行っており、幸病院に勝る規模なのが、自治体病院である市立川崎病院。横浜市や東京都からも救急を受け入れ、年間8000台の救急車を含む救急患者は約4万人、特に小児救急に関しては1万6000人と、全国でもその数はトップクラスだ。
 また、市のホームレスの救急搬送をほぼすべて受け入れているのは特異なことだ。
 これには川崎市固有の地域事情が絡んでいる。南北に長い川崎市は、北~中部は住宅街、南部は京浜工業地帯を抱えた古くは労働者の街。特に川崎区は人口減少と高齢化が進んでいる。外国人も多い。
 そして川崎市は実は全国平均を上回って生活保護受給者が多い。しかも近年は全国から生活保護受給者が集まっている傾向にある。
 自治体病院の役割は、民間病院では不採算の医療を提供し、地域医療を守ることにある。
「交通事故から寝たきり老人の脱水症まで、すべての患者を受け入れる。それこそが自治体病院が行う救急医療だ」と田熊清継・市立川崎病院救命救急センター室長・救急科部長は熱を込める。
 しかし、自治体病院といえども経営効率化が強く求められる時代。市立3病院の昨年度の経常黒字は9億7000万円だが、これは70億円近い赤字補填の繰入金が入っている。
 市立川崎病院でも、病床利用率や患者紹介率などを以前よりも意識するようにはなっている。セーフティネットの役割もありながら、経営効率を高めなければいけないというジレンマを抱えている。
 もう一つ、救急の新たな顔が登場した。福島県を中心に展開する南東北グループの新百合ヶ丘総合病院は、北部の病床不足を解決し産科・小児科過疎地を埋めようとする市の病院公募に手を挙げた。
 8月の開業時には、医師・看護師の確保が十分でなかったが、10月現在、常勤医は50人を突破。救急車の受け入れ台数は9月で350台、1日当たり外来患者数は最高386人をマークした。渡邉一夫理事長は「5年後に黒字化し、将来的に200億円の医業収入を目指す」と言う。
 川崎市には他にも聖マリアンナ医科大学病院、日本医科大学武蔵小杉病院、帝京大学医学部附属溝口病院、関東労災病院など有力な病院が複数ある。
 そんな中でも幸病院や新百合ヶ丘病院といった救急に積極的な民間病院は、患者獲得のためのマーケティング活動にも熱心だ。幸病院は毎日市民講座を開いて医師が直接患者に語りかけ、草の根的に病院のファンを増やしている。
「救急搬送力」ワースト1の川崎市はさまざまなプレーヤーが入り乱れることで、早晩ワーストから脱することになりそうだ。
 最後にもう一つ、川崎区の川崎社会保険病院に注目したい。5月に60億円という高値で買収に手を挙げたのが、首都圏での事業拡大に積極的な広島発祥の葵会だ。いま、地方の病院が都市部に積極的に進出してきている。
 川崎社保病院は慢性的な赤字が続き、昨年度の一般病床利用率は50%を切っていた。医師・看護師と患者が離れてしまっていた。そんな状況からどう再建するのか。
 譲渡条件は厳しいもので、救急は維持しながら療養型病床を現在の50床にさらに50床上乗せするというもの。地元病院関係者は皆、一様に葵会による再建を疑問視している。
 葵会は「勝算はある」と余裕の構え。すでに欠員を埋めるためにグループから医師・看護師を30人ほど送り込んでおり、病院長も内定しているという。新病院の目玉は心臓カテーテルとがん治療で、人工透析と回復期リハビリも行い、2年で黒字化すると意気込む。


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■倒産は減るも
支援機構入り増加

 病院は市立川崎病院のような公的病院と、幸病院や新百合ヶ丘病院などの民間病院とに大きく分けられるが、その収入源は共に、医療行為に対して支払われる診療報酬である。
 診療報酬は国が公定価格を決めており、価格は2年に1回改定される。12年度は10年度に続き2回連続でプラス改定となり、病院経営には追い風だ。
 病院の倒産件数を見ると、ピークの07年は18件にも上ったが、いまは小康状態。今年は9月末時点で3件(負債総額73億円)にとどまる。
 もっともピーク時における倒産の原因は「バブル期の過剰投資や本業外の事業に手を出したことによる放漫経営が一番多く、本業不振が原因の倒産はごく一部だった」と帝国データバンク情報部の阿部成伸氏。
「近年は倒産件数こそ減少しているが、本業不振(収入減)による倒産が大半を占めている。ただし、大型病院の倒産は診療報酬の不正請求や粉飾決算などコンプライアンス問題が大きく影響しているのが特徴的」という。
 足元で倒産件数が減っている理由には、09年末に時限的に施行された金融円滑化法によって銀行からの借り入れの返済時期が猶予されている影響も大きい。
 また、事業再生を手がける企業再生支援機構の支援を受けることで倒産を免れた病院もある。12年には五つもの医療法人が支援対象になっている(表0-5参照)。
 病院経営者側が「騒がれてブランドに傷をつけたくない」といって機構からの支援を受けたがらなくても、金融機関から借金を一部棒引きする条件として突き付けられれば、うなずかざるを得ないだろう。
 支援を受けるに至った原因は本業以外への投資、本業での過大な投資など。経営観念の薄い経営者が身の丈以上の投資をしてしまったのだろう。
 とはいえ、設備や建物が老朽化すれば、医療やサービスの質に影響が出て、患者はもちろん医師や看護師も他の病院へ流れてしまいかねない。
 日本では1970~80年代に大量に病院が建設されたり、増築された。これらの病院は築30~40年となり、建て替え時期に入っている。幸病院も6月に新築移転した。


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■単独で建て替えるか
 再編に身を投じるか

 建て替えを検討するには次の30年に向かう病院経営を考えなければならない。どう建て替えるべきなのか、後継者はいるのか、地域ニーズや市場はどう変わるのか、などである。
 葵会をはじめ地方の病院の中には、首都圏へ進出して買収攻勢を仕掛けるものも現れている。買収してグループを形成するという判断には「病院は固定費が高いので、固定費を抱えながら稼ぐにはチェーン化するほうが利益が出やすいという考えなどがある」とトーマツで医療分野のコンサルティングを行う和田頼知リーダー(ライフサイエンス・ヘルスケアインダストリー)は言う。
 チェーン展開している病院グループは、建て替えのタイミングでグループ内の再編・整理にも取り組み、介護など医療以外の事業へ手を広げている。今回の特集ではこうした巨大病院経営の最前線もレポートした。
 来年3月には円滑化法が終了する。次回の診療報酬がマイナス改定に転じる可能性もある。今後、消費税の増税で患者の受診抑制などが生じる可能性も高い。中長期的に見れば医療費を削減する流れは変わらない。
 そうした中で単独での生き残りが難しければ、他のグループへの参加、事業承継などの判断も出てくるだろう。いい医療を提供するには、いい経営が伴わなければならない。


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本詳細はダイヤモンド社ホームページ→http://www.diamond.co.jp/


●『週刊ダイヤモンド』10/27号(雑誌コード:20244-10/27)
●特別定価 740円(税込)
●2012年10月20日発売


【本件に関するお問い合わせ先】
株式会社ダイヤモンド社営業局営業部(担当:岩佐、大曽根)
TEL:03-5778-7241 FAX:03-5778-6619 
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