日本電気株式会社


【NEC報道資料】NanoBridge(R)に対応した新しいLSI設計技術を開発~自動車、ロボットなどIoT機器への適用に向けて~



2015年9月7日

NECは、金属原子移動型スイッチ“NanoBridge”技術(注1)を応用した書き換え可能なLSI(NB-FPGA、注2)向けに、性能を事前に予測することで、設計時間を1/10に短縮し、従来のFPGAと同等レベルの設計時間を実現する新たなLSI設計技術を開発しました。
本技術は、NB-FPGAの消費電力や論理動作周波数をシミュレーション上で正確に再現でき、LSIに回路を書き込む前に動作の遅い回路を把握、柔軟に回路を修正可能とするものです。

今回の技術により、圧倒的に電力効率の高いNB-FPGAを用いたLSIの設計を効率化し、自動車の制御ユニットやロボットなど、様々な環境下で使用し、高性能かつ消費電力の低減が求められるIoT機器への適用を実現します。これにより、新たなIoTソリューションの可能性をひろげます。

NECは「社会ソリューション事業」に注力しており、SDN、ビッグデータ、クラウド、サイバーセキュリティの強みを活かしながらIoT事業を強化し、ICTを活用した高度な社会インフラの構築に貢献していきます。


【背景】
現在、自動車には高度運転支援システム(ADAS)により自動運転などを実現する高性能なLSIが搭載されていますが、システムの高度化にともない、LSIが高性能化する一方、消費電力は増加する傾向にあります。FPGAのような再構成可能な回路は、CPUに比べて高電力効率であるため、このようなシステムに活用できると考えられています。

NB-FPGAは、従来のSRAMを用いたFPGAに比べて、チップ面積と動作時の電力を1/4に削減できますが、新しい構造・特徴があるため、動作周波数や消費電力の予想が難しく、設計に工数と時間がかかるといった課題がありました。


今回の技術では、NB-FPGAの性能を書き込み前に予測、最適化する新たな手法を開発し、従来のFPGAと同等レベルの設計時間を実現しました。これにより、NB-FPGAの実用化に大きく貢献します。


【新技術の特長】
1. NB-FPGA回路の動作周波数を予測するツールの開発

NB-FPGA上に書込まれた回路は正しく動作しても、その動作周波数は想定外に低くなる場合がありました。

回路の動作周波数を正確に予測するためには、NB-FPGAに書込んだ回路全体の遅延時間を求める必要があります。そのためには、まず基本回路部品の信号の遅延時間を予め計算しておき、その部品毎の遅延を足し合わせることで回路全体の遅延時間とします。しかし、基本回路部品は100万種類にもなります。この基本回路部品を、出現率の高さ等により“基本セル”(45種類)と“補正セル”(28種類)に限定することで、遅延時間の予測精度を落とさずに、少ない回路部品数で回路全体の遅延時間を計算できる計算手法を開発しました。

これにより、NB-FPGAに書込まれる論理回路の遅延時間を、動作電圧・温度の広範囲で、正確に把握できるようになりました。

NB-FPGA上にプログラムを書込む前に、回路の遅延箇所の修正・遅延時間の検証を繰り返すことで動作速度が遅い箇所をなくし、高い動作周波数を可能とする論理回路を実現します。


2. NB-FPGAの消費電力を正確に予測

NanoBridgeの抵抗値(実測の値)を用いた静的電流のシミュレーションにより、実測値を再現できることが分かりました。前項で開発した動作周波数を予測するツールから副次的に動的電流が得られます。その動的電流と静的電流から消費電力が算出できるため、事前にNB-FPGA全体の消費電力を正確に予測することが可能となりました。

また、NanoBridgeのオンおよびオフ時の抵抗値は温度による変化がきわめて小さいことから、高温における動作周波数の劣化は、SRAM-FPGAに比べてNB-FPGAは小さく、静的電流(リーク電流)の増大も1/3に抑制されています。


これらの特長により、NB-FPGAに回路データを書き込む前に動作の遅い基本回路および消費電力が把握可能となり、必要に応じて回路データを修正し最適化する新しい手法を開発することで、設計時間を1/10に短縮し、従来のFPGAと同等レベルの設計時間を実現しました。

これにより、様々な環境下で使用するIoT機器への適用に貢献し、新しいIoTソリューションの可能性をひろげます。


今後は、NEDO/エネルギー・環境新技術先導プログラム「制御高度化により自動車等を省エネルギー化する低レイテンシコンピューティングの研究」において、ロボット研究において第一人者である東京大学・稲葉教授と共同で、NB-FPGAをロボットのモータ制御等へ適用する予定です。モータのノイズ下さらには高温環境下においても、従来より安定し、省電力、低レイテンシを実現する組み込みシステムの開発に、本成果を利用します。


なお、NECは、今回の成果を9月8日から11日まで、宮城県仙台市東北大学で開催される電子情報通信学会ソサイエティ大会において、10日に発表する予定です。


本研究成果の一部は、NEDO/エネルギー・環境新技術先導プログラム「制御高度化により自動車等を省エネルギー化する低レイテンシコンピューティングの研究」によって得られたものです。


NECグループは、「2015中期経営計画」のもと、安全・安心・効率・公平という社会価値を提供する「社会ソリューション事業」をグローバルに推進しています。当社は、先進のICTや知見を融合し、人々がより明るく豊かに生きる、効率的で洗練された社会を実現していきます。

以上


(注1) NanoBridge(R)は抵抗変化型スイッチの一つであり、NECの登録商標です。NECが国立研究開発法人 物質・材料研究機構と開発したものです。固体電解質中に金属原子が作る架橋の生成/消滅を印加電圧で制御することにより、その抵抗が大きく変化し、配線スイッチとして機能します。スイッチの抵抗値は電源を落としても維持され、不揮発性を備えます。回路の不揮発化はICT機器やシステムの省電力化を実現するために有効です。

(注2) Field Programmable Gate Array(FPGA)は、ユーザーが論理機能を自由に設定できる論理LSI。


<本件に関するお客様からのお問い合わせ先>
NEC 研究企画本部 プロモーショングループ
https://contact.nec.com/http-jpn.nec.com_tb_142rd_4b126d/?fid=4b126d

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