福岡工業大学


DNAから生物追跡! 新技術「環境DNA」で生態系保全の枠組み変える



乾准教授の研究フィールド 広島県の小瀬川上流域。

乾准教授の研究フィールド 広島県の小瀬川上流域。

福岡工業大学の乾准教授の研究室では、新技術「環境DNA」による分析を用いて、気候変動が魚類の生息分布に与える影響について研究を始めます。

■研究のポイント
海や川の中にどんな生物がどれくらいいるのか?実際の状況を反映した正確なデータを取ることは水中を隈なく調べなければ困難です。しかし、新技術「環境DNA」による分析を使えば、バケツ1杯の水を採取するだけで海や川に生息する生物の種類や生息密度について正確かつ効率的な分析が可能になります。
本学の乾准教授は今年度(2019年度)からこの「環境DNA」を実際のフィールドに適用し、様々な種類の魚類の行動や生態を追跡していきます。この研究によって、これまで推測でしか考えられてこなかった「地球温暖化によって、実際に生物の生息分布や資源量はどう変わるのか?」という問いに対して明確なデータで答えを出していく事を目指します。研究を応用すれば、今後の気温変動で実際にどういう生物が絶滅危惧種に陥る可能性があるのかも予測可能になり、生態系保全の枠組みを変える可能性もあります。

■環境DNAとは?
ここ10年ほどで研究が進められる新技術。海や川の水に含まれる魚などの生物のフンや、皮膚、分泌物の微細な破片に注目し、含まれるDNAを読みときます。生物は種ごとにDNAの配列が少しずつ違うため、水に含まれる破片からその場所にどんな種の生物がいるのか特定することが可能です。また、含まれるDNAの量から生物の密度も分析できます。およそ1リットルの水を汲むだけでサンプル採取が可能で、実際に生物を採集する従来の方法よりも少ない時間と労力で生息状況を把握できます。これまで、生物分布は対象生物を実際に現地で採ることによる予測しかできませんでした。環境DNAによる分析を用いれば正確なデータに基づく新たな生物分布を作ることができます。また、実際に網などで採集する方法では困難だった、警戒心が強く観察しにくい生物でも生息の有無が分かり絶滅危惧種の発見などにもつながっています。

■研究スケジュール
今年度(2019年度)から山口県、島根県にある小瀬川、佐波川、高津川をフィールドに選び、定期的に生物分布を環境DNAによって分析。同時に川に網羅的に水温ロガーも設置し、水温変化が生物の生息状況にどう影響を与えるのかデータ収集します。
このデータを蓄積することで、将来予想される気候変動を受けて、魚類の分布や資源量がどう変化する可能性がるのかも予測していきます。

■研究費助成など外部評価
この研究は今年度(2019年度)から文科省の科研費(科学研究費助成事業)に内定しています。
・研究課題名:「気候変動に伴う河川魚類の分布・生物量変動予測」
・補助事業期間:2019年度~2021年度

■乾隆帝(いぬい・りゅうてい)准教授
福岡工業大学 社会環境学部 社会環境学科 所属(水圏環境生態学)

【研究キーワード】 ・環境DNA ・魚類生態学 ・地球温暖化
乾准教授は魚類生態の専門家でもあり、各地の川や海で環境DNA技術と魚類生態学の知識に基づいたフィールドワークによる調査を展開しています。

■本件に関する問い合わせ
乾研究室 外線:092-606-6328 e-mail:inui@fit.ac.jp

■取材について
福岡工業大学 広報課 担当:池田092-606-0607 e-mail:ko-ikeda@fit.ac.jp


  • 乾准教授の研究フィールド 広島県の小瀬川上流域。 乾准教授の研究フィールド 広島県の小瀬川上流域。
  • 「環境DNA」で追跡する生物の一例(1) 「環境DNA」で追跡する生物の一例(1)
  • 「環境DNA」で追跡する生物の一例(2) 「環境DNA」で追跡する生物の一例(2)
  • 福岡工業大学 乾隆帝准教授 福岡工業大学 乾隆帝准教授


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