学校法人近畿大学


シベリアチョウザメの全メス化に成功 雌雄判別作業を削減し、キャビアの効率生産を目指す



シベリアチョウザメ若魚

シベリアチョウザメ若魚

近畿大学水産研究所新宮実験場(和歌山県新宮市)は、平成29年(2017年)12月に、ドイツから受精卵を輸入し、人工ふ化したシベリアチョウザメに女性ホルモンを経口投与して、全メス化させる実験を行ったところ、供試魚の100%がメスになっていることを確認しました。

【本件のポイント】
●日本で初めてチョウザメ類の全メス化に成功
●シベリアチョウザメに女性ホルモンを含む配合飼料を与えて、全メス化を確認
●雌雄判別作業を削減することで、キャビアの効率生産を目指す

【本件の内容】
養殖してチョウザメからキャビアを生産するためには、長い年月を要することに加え、チョウザメの半数がオスであるため、雌雄判別作業にコストがかかります。そこで、キャビア生産の効率化を図るために全メス化の技術開発に取組んできました。
本研究では、ふ化後4カ月目のシベリアチョウザメの稚魚150尾に女性ホルモンを混ぜた配合飼料を6カ月間与えた後、22カ月目まで通常の配合飼料で飼育しました。この中から無作為に45尾を抽出して、生殖腺の形状を実体顕微鏡で観察し卵細胞が確認された個体をメスと判別し、卵細胞が確認できなかった個体は、生殖腺の組織切片を染色して卵細胞を確認したところ45尾全てに卵細胞が確認されました。
通常オスを選別するためには、3歳程度になったチョウザメを1尾ずつ池から取り上げて、腹部を切開し、生殖腺の色や形を目視確認して雌雄を判別し、外科用の針と糸で切開部を縫合して池に戻す雌雄判別作業が必要になります。全メス化をすることでこの工程を省略することができ、生産者の労力の軽減が期待されます。

【今後の展望】
チョウザメを全メス化することによって、オスを3年程度飼育するコストを削減でき、養殖チョウザメから生産されるキャビアの生産コストが低減できます。これにより生産原価が引き下げられれば、キャビアの販売価格も安くできると考えられ、消費者にキャビアをより安価に提供することが期待されます。
また、今回は女性ホルモンを混合した配合飼料を用いてチョウザメの全メス化に成功しましたが、今後は女性ホルモンに代わる、食品由来の成分によって全メスにする研究に展開することを目指します。その代わりの成分として、植物エストロゲンを含む飼料を開発して実証実験を行い全メス化を実現し、全メスチョウザメのキャビアができるようになれば、商品化や、全メス種苗として稚魚や受精卵を全国に供給することが期待されます。

関連URL:http://kindaifish.com/


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