日本イーライリリー株式会社


世界9カ国・保護者と医師を対象にした“ADHD 360国際調査”



日本のADHD治療に手詰まり感、保護者は長期的な治療・支援プランを希望
〜日本の保護者と医師、及び国内・外の保護者の「認識のギャップ」から明らかに〜

日本イーライリリー株式会社(本社:兵庫県神戸市、代表:アルフォンゾ・G・ズルエッタ)は、ADHDをもつ子ども達がより良い生活を送るための課題、またADHD児を支援する保護者と医療現場の連携はうまく取れているのか、といった問題を探ることを目的に、保護者・医師の立場の違いによる考え方の比較、および国際比較する『ADHD 360国際調査』を、世界精神保健連盟(WFMH)と協力し、日本を含む世界9カ国で実施致しました。

その結果、日本国内の保護者と医師では、「成長の過程で心配な点」や、「診療に対する希望と実際」において、また同じ保護者であっても、国内外では「子どもの症状コントロールのために行うこと」、「子どもの将来を心配する状況」において、それぞれギャップが生じていました。日本国内では治療・支援体制に手詰まり感を抱いており、保護者はADHD児の将来を案じて「診療」に治療のプランやゴールなど、より多くを望んでいる傾向が示唆されました。

(1) 保護者は、学校生活に限らず「日常生活」など生活全般について心配(日本の保護者vs医師)
「ADHD児が成長していく過程で最も心配していること」について、保護者は「基本的な日常生活が難しい(62%)」が最も多く、「自尊心を育てられない(49%)」、「自分自身をコントロールできない(45%)」と続き、学校生活だけでなく、基本的な日常生活全般の心配をしていました。
一方医師は「学校で適切な行動をとれない(56%)」が最も多く、次いで「友達関係を築いたり維持できない(51%)」と、学校生活や友達関係といった保護者の目を離れた場面について特に心配している傾向がうかがえます。【グラフ(1)】

(2) 症状コントロール法、日本は日常生活の配慮のみ、治療や支援手段少なく治療に手詰まり感
  (日本の保護者vs国外の保護者)
 「子どものADHDの症状をコントロールするために行っていること」については、「十分な睡眠を取らせる」、「規則正しい生活をさせる」、「バランスの取れた食事をさせる」など、国内・外の保護者ともに、日常生活の中での配慮が多く行われていました。
 日本と国外で差が出た項目は、「特別な学校教育プログラム」、「在宅医療制度」、「行動療法やセラピー」、「認知行動療法や会話療法」などで、いずれも日本の保護者の回答が少ないという結果でした。日本では治療や支援手段のバリエーションが少ないことから、治療関連の回答に差が出ており、治療・支援に手詰まり感を抱いていることが示唆されています。【グラフ(2)】

(3) 日本の保護者は「診療」により多くを望む傾向(日本の保護者vs医師)
 医師が保護者に「提供している」と思うことは、「様々な治療についての適切な説明(73%)」、「信頼関係の確立・悩みストレスの解消(68%)」、「能力の育成に関するアドバイス(66%)」が上位でした。また、提供していると思う医師が少ない「次の段階が示された治療プログラム(14%)」、「治療ゴールを定める(20%)」、「十分な診療頻度(23%)」、「能力育成のための治療プランの提示(32%)」といった項目は、「行って欲しい」と思う保護者が多いという結果となりました。
 現状、医師は「説明・情報提供」などに留まっているため、保護者は将来に繋がる具体的な治療のプランやゴールを提示して欲しいと希望していることが示唆されています。【グラフ(3)】

(4) ADHD児が将来自立し、社会で生活することが「かなり心配」な保護者、日本67% 国外24%
(日本の保護者vs国外の保護者)
 「ADHD児が将来自立し、社会で生活していくこと」について、日本の保護者は67%が「かなり心配」、23%が「心配」と考えているのに対し、日本以外の保護者は「かなり心配」が24%、「心配」が38%と、日本の保護者はADHD児の将来をより心配している状況がうかがえます。【グラフ(4)】

●国内の調査監修:
 北海道大学大学院教育学研究院 附属子ども発達臨床研究センター 教授 田中康雄先生のコメント
 ADHDをもつ子どもたちが、将来自立して社会に適応していくためには、“社会性”や“感情コントロール能力”を身につけることが重要だと考えられています。そのためには、支援者である保護者、教師、医師など、その子を取り巻く環境や人がADHDを十分に理解し、連携を図って支援をしていく必要があります。出来る限り早期に診断し、適切な支援を行うことで、その子が生活しやすい環境を作ってあげることが、最大の対処法です。
 今回の調査対象となった保護者と医師は、日々それぞれの状況や立場で、様々な心配事を抱えながら当事者の子どもに接しています。医師が登校中や友達関係を心配しているのは、保護者や教師の目が行き届かない時間、ADHD児が自分の力だけで友人とコミュニケーションを取らなくてはならない場面が多いからです。
 現在、ADHDが社会でよく知られてきていることに伴い、診療に訪れる人も増加しています。医師は、一組の当事者・保護者に割ける時間が非常に限られた中で、できる限りのコミュニケーションを図り、本人や保護者の心配事を解消するため尽力しています。しかし、日本の保護者が、診療に対して「長期的なプラン」など多くのことを望まれている状況から、日本のADHD治療においては、専門医・専門機関の充実、治療の向上としても効果的な治療薬の使用など、治療・支援体制の一層の充実が必要であると言えます。

●国内の調査協力:NPO法人 えじそんくらぶ 代表の高山恵子氏のコメント
今回の調査で、自尊心の低下や自立に関することを日本の親は心配し、そのための社会性の訓練を含めた治療プログラムを希望しているということが明らかになりました。ADHDの生物学的な特徴の改善というより、日本の社会での適応に関心が強いということです。これは障害観やADHDの理解が不十分で、偏見が多く理解と支援が不足している実状を物語っています。メディアの影響力も大きく、今後も正確な情報の提供が大きな課題となるでしょう。

●調査参加者(ADHDのお子さんをお持ちのえじそんくらぶ会員)コメント
ADHDの子どもを育てることは、確かにとても大変で、親としての自信を失うことも多々あります。しかしそれは周囲の理解という安心感と、みんなで育てていくという周囲からの支えがあった時、その大変さは軽減され、親がゆとりと客観的視点を持って育児をすることができます。また、ADHDをもつ子どもたちが自分らしさを大切に、未来に夢や希望を大きく抱き、自立するためにも、周囲の理解・支えという環境は必須です。偏見や差別からADHDであることをカミングアウトできない状況にある日本が、更に正しい知識・理解を深め、家庭、医療、教育、地域、企業と横のつながりでの“人生”支援を行える環境、国になることを切に願います。



ADHD…ADHD(Attention Deficit/Hyperactivity Disorder:注意欠陥/多動性障害)は、注意力・衝動性・多動性を自分でコントロールできない発達障害のひとつです。米国では学童の3〜7%に発症すると考えられており、2002年に文部科学省が行った調査では、1クラスあたり1〜3人がADHDのような行動上の問題を抱えています。具体的な症状は、物事に集中できず勉強が進まない、じっと座っていられない、順番が待てない、他の子どもの邪魔ばかりしてしまうなど「落ち着きのない子」と見られがちです。早期発見、周囲の理解や支援、専門医の適切な治療によって克服することができます。

関連URL:http://www.lilly.co.jp/CACHE/index_index.cfm

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