2009年12月21日 10時35分
大根1本78円、たまご10個98円・・・。12月、あるスーパーの販売価格である。
安いモノしか売れないことが企業収益を圧迫し、廻り廻って従業員の賃金も下がる。結果、更にモノが売れなくなる・・・。
こんなデフレスパイラルの危機に直面している日本経済。
このようなデフレについて、衣・食・住の、衣食については日常生活で実感しやすいものの、果たして『住』についてはどうなのだろうか。
以下は現場からの声である。
一昨年秋のサブプライムローン、続くリーマンショックの問題をきっかけに下落の一途を辿った住宅価格。
実際に現場の視点から振り返ってみても、多くのディベロッパーが、一気に市場に在庫物件を放出したことによって、供給過多になり値崩れを起こしたことが主要因だったと分析できる。
ただ不思議なことに、この間世間ではあれだけ “不況”を叫ばれていながら、住まい探しの消費者の数は一向に減少しなかったのである。もっと正確に言えば、増加すらしたというのが現実である。
その結果、あれだけダブついていた在庫物件は、この春までのおよそ1年半の間に一気に捌けた。
客観的な事象として、東証1部上場の建売りディベロッパーの株価の推移を見ても、この間いかに物件が売れたかが見て取れる。
その後遺症として今、何が起こっているか。
今市場を支配しているのは、“品薄感”である。
端的に言えば、売る物件がないのである。都内においては、新築物件が無くなり、その需要が中古物件にシフトし、現在はその中古物件すら品薄となっている。
都内に限らずその周辺でも同様の現象が起き始めている。
それでは、何故そうなったのか。
ディベロッパーから聞こえてくる声は、資金調達が難しくなったという怨嗟の声だ。
仕入れる物件はある。しかし、以前であれば金融機関から仕入れ価格についてあれこれと言われることは余りなかったが、現在は、ディベロッパーが考えている最終販売予定価格が高いのでは・・・と判断され、そこから逆算した仕入れ価格が高いと結論付けられる。結果資金調達ができないという現象が起きているというのである。
ここでデフレの話に戻るが、需給バランスから言えばこれだけ需要があれば、供給不足による価格上昇が起きてもおかしくない状況だと思うのだが、それが明らかな上昇に転じていないことが現在の市場の異常さを現しているように思える。
これをデフレというかどうかは、専門分野の経済学者に下駄を預けるとして、少なくとも上昇すべきベクトルが逆向きのベクトルで相殺されていることだけは確かなようである。
繰り返しになるが、市場に買い手は多く存在する。仕入れ側も消費者側もである。
仮の話として、双方の購買意欲が減少したとしても、在庫がない以上、この2年の間に見られたような大幅なマイナス方向への価格調整は必要ないと考えるのが普通ではないだろうか。
それでは、賃料はどうか。
高額帯は別であろうが、近年一般サラリーマン世帯が借りるような実需の賃料が、大きく下がったという話は聞いたことがない。
過去20~30年、ミクロの現象、言わば個別要因で下がったことはあったにせよ、好不況で乱高下したという話も聞いたことがない。
例えば、家賃10万円を出費している世帯は、例えば35年間家賃負担が変わらずに続いた場合、4,200万円もの住宅に対する出費が必要である。
この額、即ち月々10万円を仮に住宅の購入に充てた場合、およそ3,500万円の物件を購入できる。(※1)
金利変動幅は別として、これが例えば一戸建ての住宅であれば、建物の減価償却があったにせよ、最後は相応の土地資産が残る計算になる。
どちららが有意義なお金の使い方であろうか。
このことは、生き方や考え方、はたまた人生観にも関わってくることなので、断言はできないが、多くの方は後者に軍配を挙げるのではないだろうか。
住まいは、いつ購入しても資産の形成に寄与することは事実だが、タイミングを逸すると不動産価格下落に伴う資産の目減りも考慮しなければならない。
それでは、そのタイミングはいつか。
これだけデフレという言葉が叫ばれている中、下げ止まっている住宅価格。
過去最低ラインに近い住宅ローン金利。
夫婦+子供2人の4人家族で年収600万円の世帯の場合、前述のように3,500万円の住宅ローンを組めば、その後10年間で約200万円近くの所得税と住民税が戻ってくる過去最大級の住宅ローン減税。
市場において、住宅探しの消費者が減らないという事実こそが、その答えとなっているように思える。
(筆・株式会社ホームタウンよこはま 代表取締役 主席FP 黒須 秀司)
※1.諸費用部分を頭金。変動金利(店頭金利2.475%)を利用し、1.4%の金利優遇(通期優遇)を受け、将来における金利変動幅は考慮しなかった場合。
■問い合わせ先:
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